幼馴染みが担任になったら…アナタならどうします?





「おーい、席に着けぇ〜」





そんなことを思い出していると、相変わらずジャージ姿で、出席簿を持つ手を肩に掛けた耀太が、少し短くなった髪を触りつつ教室に入ってきた。





その変化に敏感に気づいた子達が「カッコイイ!」ともてはやし始めた中、あたしは一人、あることを思い出して思わず吹き出してしまった。





石橋家のしきたりに、“新年は散髪して迎えるべし”というものがあって、毎年耀太達兄弟は、無理矢理おばさんに散髪屋に連れて行かれてたんだよね。





ぷぷぷ……
アレを大人になってもやられちゃったんだ……





騒ぎがどんどん大きくなる中、ごまかすように少し赤い顔で咳ばらいをした耀太は、





「明けましておめでとう。今年もよろしくってことで、出席とるぞ〜」






と、教壇からひと際大きな声を張り上げている。






…………あれ…?





その声が少し掠れているのに気づいて、あたしは首をかしげた。





もしかして耀太の奴……
風邪のひきかけ……?





決まって耀太が風邪をひく時は、まず声が掠れるのを知っていたから。






おかげでその後も気になって、出席をとる耀太の声に注意していたけれど、掠れたのは最初だけだったみたいで。





自分の思い過ごしかと思いつつも、今度は目の下に見え隠れするクマが気になって、あたしは知らず知らずのうちに、耀太を目で追い続けていたらしい。





あたしの行動に気づいたヒロキが、斜め前の席から口パクで“み・と・れ・す・ぎ”と注意してくるまでは。





さすがにその後はわざと耀太から視線を外したけどね。






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