恋の相手は俺様王子!?

身を起こし、未だに手のひらをついたまま固まるあたしに顔を寄せる。


鼻と鼻が触れ合う距離だ。


ふう、と息を吹かれ、あたしの唇に彼の息が触れた。


瞬間、顔がポワーッと火照りだし。


「意識すんなって言ってんの。 俺は、お前を女てしてはみねぇし、お前も俺を男としてみるな」

「だから……意味わかんない…」

男として見るって、あんた男じゃんって突っかかった。


グイッと顎を掴まれ、間近で彼の瞳を覗き見る。


ドキドキドキ。


今まで、こんなに近い距離に男の人がいたことがない。

だから、どうすればいいか分からない。



「俺を好きになるなってことだよ」


何の感情も込められていなかった。

ただ冷たく、悲しい響きだった。


「契約書に書いてある。 恋愛禁止ってな」

「………ええっ! そんなっ……て、あっ!」


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