オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
『ご予約たまわりました。フロントへお進みください』


って自動音声が流れたから、あたしはマモル君に手招きしてから進んだ。


入り口は狭かったけど、ロビーにあるフロントはすこし上品な雰囲気だった。


柔らかいオレンジとグリーンで統一されていて、木目調のカウンターには蝶ネクタイした男の人が受け付けをしてくれた。

「302号室のご予約をなされましたね」


「303号室もだ」


急にナギがあたしの隣に割り込んできて、受け付けの人にいう。


「302室はこいつら親子が使う。303号室は俺たちだ」


……『俺たち』って、なんでしょう?


それに、マモル君と博君を親子って……


ナギはあたしが抗議の声を上げる間もなく記帳を済ませ、あたしの着てる上着の端を引っ張ってエレベーターに乗りこみ、顔を合わせないまま部屋の前に着いた。


「ナギ……おまえ」


「じゃあ明日の朝に」


マモル君がなぜか深刻そうな顔で訊こうとする声を遮り、ナギは部屋の鍵を開けあたしを連れてさっさと中に入ると、すぐさま鍵を閉めた。
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