オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
ナギの胸……


それも、中央からやや左よりに、大きな傷跡があったから。


それはどう見ても心臓を狙われた……と判る傷だった。


鋭い刺し傷だけなら、こんな風に花びら型に広がるはずはない。


何度も何度も、胸を突かれなければ。


今もハッキリと残る生々しい傷跡。


マモル君が言ってた、瀕死の重傷って……

やっぱりこれが原因なんだよね!?


あたしは初めて、ナギに対して胸が痛んだ。


わずか3歳で殺されかけたなんて……


いったいどんなにツラく苦しい気持ちだったんだろう。


あたしの目から思わず涙が零れ落ちて、ナギの傷跡を濡らした。


「よけいな……同情など要らない。
女は所詮口先ばかりの生き物だから……
おまえも俺と深く関わるな。
おまえも所詮は女だろう。平気で嘘をつき……裏切る」


冷えてきた身体が逆に熱を帯びてきたからか、うわごとみたいにナギが繰り返し繰り返し言う。


でも、それを聴いてるうちに、あたしは何だか憐れみを通り越して、ナギに対して腹が立ってきた。
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