オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】



8時頃に様子を見に親父の部屋にいくと、まずゴミ袋20個分のゴミが廊下に溢れていた。


たぶん全て親父の部屋から出たものだろう。


和室である親父の部屋の襖をそろりと開ければ、本の山は全て整理整頓され、散らかしっ放しだった衣類はタンスに収められ、棚や机は今まで記憶にないほどピカピカに磨かれ、物が収まるべき場所にきちんと収まっていた。


親父自身はこの光景が信じられないのか、呆然とした様子で部屋の真ん中に座り込んでいた。


無理もないだろう。


今まで親父の部屋は足で直接床を踏めず、寝る場所さえなくて向かいの和室で寝てたのだから。


今のように床が半分以上見えて、2人以上が寝転がってもよさそうな。

おまけにごろ寝しても良さそうなほど、畳も清潔に清掃されているとあれば。


まるで奇跡が起きたのかと放心状態になっても無理はない。


そのうちに台所から、醤油と出汁のいい匂いが漂ってきた。


だが、俺はその匂いで余計に苛立ち、杏子に対してある思いをますます抱かざるを得なかった。


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