オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
しゅう、しゅう、と蛇の威嚇音のような呼気音を立ててたのは……
もうひとりの『ありす』。
洞窟で狩野さんが退けた筈の、着物を着て夜叉のような風貌と化した黒髪の女性だった。
でも、それは絹枝さんが居た場所に現れた。
……あたしの予想通りに。
狩野さんは水着姿のまま光る剣を構え、博君は静江おばあちゃんを守ろうと庇う体勢を取ってたし、マモル君は涼花さんを素早く遠ざけてた。
アプレクターじいちゃんは、『ありす』の前にふんどし姿で立ちはだかった。
ぐおぉぉ……
唸り声を上げた『ありす』は、アリスを赤いつり上がった目で睨みつけた。
《おのれえぇ……やはり忠司様の心を奪った女がいたか……。
悔しや、口惜しや。
わたくしがどんなに愛したところで、あの方の心は全てわたくしには向けられなかった!
その恨み辛み、今こそ思い知らせようぞ!!》
黒い霧を纏わりつかせた『ありす』は、ちらりとナギに目を向けた。
だけど、その時だけは穏やかで優しい柔和な目に戻っていた。