オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】








約束の3月31日、その日は朝から抜けるような青空が広がってた。


『太郎おじいちゃん、はじめまして。こんにちは!!』


子ども達は、初めて会うおじいちゃんに、声を揃えて元気よく挨拶した。


あたしがひとりひとり紹介してると、お父さんは鼻を押さえて俯いた。


「よかった、おまえは幸せになれたんだな。私と美子のように、互いを傷つけあう事もなく」


あたしはしんみりしてもらい泣きしそうになったけど。


「細胞分裂するアメーバアタマなコイツといると、とても苦労しますがね」


ナギが相変わらずな毒舌を喰らわしてくれました。


「こんなモノですから、私でないと扱えない。
ですからご安心なさってください。
それに、私はあなたに産土商事に復帰していただきたいと考えています」


お父さんが顔を上げると、ナギはしっかりと頷いた。


「失った時間は取り戻せませんが、これからまた始めればいいでしょう。
人間は、いつだってやり直せる。
私にそれを教えてくれたのが、妻である杏子です」


……え?


< 998 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop