幸せの在り処~through the chaos~
日常
幸せはそっと積み上げていくもの。
 
それに気づいている者は案外少ないのかも知れない。





「当たり前な日々」
 
 
そんな言葉が的確だった。
 
 
21:15
-都内、京○線電車内-
その日も晋慈は電車に揺られ、帰路を目指していた。
 
 
 山科 晋慈 28歳 会社員
 (ヤマシナ シンジ)
 
 
この話の主人公だ。
 
 
晋慈には幼なじみで同い年の妻祐子と4歳になる娘の千利がいた。
 
 
学生時代はテニス部に所属、運動神経もよく、勉強の成績も上々だった。
 
 
就職や結婚もトントン拍子で決まった。
 
 
しかし、世にいう幸せな家庭を手にした男は毎日に退屈を感じていた。



昔から晋慈は何をするにも平均点以上だった。
 
 
部活のテニスでは県大会まで行ったし、中学、高校の勉強の成績も【4】の数字が多かった。
 
 
しかし、本人はそれ程頑張っているわけではなく、無難に生きてきたと言っても言い過ぎでは無かった。
 
 
大学ではその傾向が強くなった。
 
 
危なげなく単位をクリアしてはバイトに明け暮れる日々。
 
 
ファミレスのバイトをしている時、妻の祐子に出会った。
 
 
大学にも熱くなれるものや得意だと言えるものはなかった。
 
 
しかし、就職する時も、結婚する時も両親は喜んでいたし、それを見ると晋慈も
 
 
(これが正解なのかな)
 
 
なんて漠然と思っていた。


ガタン…ガタン……ガタン…
 
 
仕事帰りの混み合った車内は疲れきった体にさらにストレスを上乗せていく。
 
 
(まるでRPGだな…)
 
 
晋慈がぼんやりとそんなことを考えていると、駅に着いた。
 
 
(レベル上げだけで、イベントのないRPG)
 
 
駅から家までの今まで何百回と繰り返した道を歩く。
 
 
(どれだけ歩いてもモンスターも現れないRPG)
 
 
この日もいつもと変わらない日常だった。
 
 
そう、この日までは…。
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