汚れた街の汚れなき天使


「達也って覚えてる??」



「達也ったら確か……」



最近アルコールのせいか、年齢か、記憶力の低下が否めない頭を振って考える。



「……えっと、あっ思い出した!!愛美が中学ン時にえらく好きだって気に入ってた奴!!!」



確かに、そんな奴いたな。うちにも数回来た事あったっけ?



「んで、その達也とまりあと何の関係があるわけ??」



愛美は俺と瞳を合わそうとはせず、ただ遠くを見つめていた。



「まりあ……そんな変わった名前だったね。それもあったのかな?あの子イジメられてたんだよね……今はどうか知らないけど大人しくて抵抗しないって上級生に遊ばれてた」


なんとなくわからんでもない。


「まりあ様は俺達を慰めてくれるんだろ?そう言われて連れて行かれるのよく見てた」


「愛美や他の奴は知ってて止めなかったのか??」


「止めたらこっちがヤられんじゃん?アタシがヤられた方がいい訳???」



っつーか周りのオトコ共が止めさせろよっ!!!

誰もまりあを助けなかったんだ。

……誰もまりあを愛してない?





「ちょっと!!聞いてるの??マジでアタシのがいいとか思ってない?」


「悪い悪い、ちょっと考え事してた」



イラつく俺の表情を見て愛美は大きく溜め息をつく。



「人の話はちゃんと聞こうよ。そんなんじゃ嫌われるよ?」



……いや、別に聞いてない訳ではないんですけど……なんて抗議出来る筈もなく。



これがイマドキのキレやすい若者って奴なのか?そんなどーでもいい事を考えながら、愛美の次の言葉を待った。



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