ひとり恋♥マイセルフパラダイス(オリジナル版)
“『檸檬白書(れもんはくしょ)』か・・・北条くんは、あーいうのが好きなんだ・・・”

『檸檬白書』は週刊少年誌に連載されている作品だから、あたしは読んだことがないんだけど、タイトルくらいは知っている。


「へぇ。お前でもマンガなんか読むんだ?」

なんか、彼、不思議そうな顔してるけど。

「別に、あたしだってフツーにマンガくらい読むよ」

「なんかさ、南野って“夏目ナントカ”とか“太宰ナントカ”みたく純文学系の小説とかしか読まないのかと思ったから、なんかちょっと意外なカンジする・・・」

「あたしって、そーいうイメージなんだ・・・」

「いや、なんとなく・・・じゃ、またあしたな」

そう言うと彼はレジのほうに行ってしまった。


「そーなんだ・・・ヤッパあたしって、そーいうイメージなんだ・・・」

ひとり残されたあたしはつぶやいた。



「ただいま・・・」

家に帰りつくなり、あたしは洗面所に走っていって、鏡に映る自分の顔を見た。

そこにはメガネをかけたあたしがいる。

< 9 / 87 >

この作品をシェア

pagetop