cherry blossom Ⅰ
真っ暗な中で私は立ち尽くしていた。
一筋の光すらも見えない。
ここまで暗黒に包まれた世界に
立ち入ったことがないから
急に怖くなりその場に座り込んだ。


「だ…誰かいないの?」


そう助けを呼んでも返事はない。
虚しく自分の声が響き渡るだけだった。


怖い…怖い…怖い…


「お母さんっ!お父さんっ!
いるならお願いここから出して!
みっ美砂…美砂、助けて。」


恐怖感だけが自分を締め付ける。
嫌だ。一人ぼっちは嫌だ。
お願い一人にしないで…
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