KISS OF LIFE

茶色に近い黒の短髪に、男のはずなのに女ではないかと間違えてしまうくらいの整った顔立ち。

眼鏡の奥にひそむ切れ長の目が、美貌を引き立たせているように思える。

「あの、大丈夫？」

「あ、はい」

あたしは何しているのよ。

何を見とれてるのよ。

それよりも、書類。

あたしは散らばった書類を拾い始めた。

「手伝うよ」

「あ、ありがとうございます」

書類を積みあげると、またさっきの状態になった。

「半分持とうか？」

「あ、ありがとうございます」

助かった〜。

「いいよ、俺が手伝うから」

ただならぬブラックオーラの主は、わかっている。

「か、課長…」

顔は笑顔だが目は笑っていないところは、ホラーである。

「俺が手伝うから、君はどっか行っててよ」

ニコッと笑いかけながら、淳平が男に言った。