ダイスキ熱愛先生!~溺愛教師の不純!?な個人授業~
「こちらへどうぞ」と中に通され、秘書室のソファーに座って待っていた。

社長室はこの秘書室の奥にある。

電話の音とカタカタというキーボードの音だけが響く中、することもなく辺りを見回していると若い女性秘書たちがチラチラこちらを見ていた。


なんかこういう視線は久しぶりだ…。
居心地が悪くて、腕を組みながら目を閉じて俯いた。
じっと大人しく待っていると、誰かが来る気配を感じた。


「銀次さん、コーヒーをどうぞ」

香水くせえ。
目を開けると、美人だが化粧の濃い女性秘書が微笑みながら色目を使った視線を送ってくる。

うげぇ、と思いつつ「どうも」とコーヒーを飲むが、その秘書はなかなか離れていかない。

何だ?

チラリと視線を向けると、妖しく微笑みながらスッと小さな紙を渡された。
もしや…と思い、紙を開いて見ると案の定、携帯電話の番号が書かれてある。


勘弁してくれよ…。頬がピクピクと引きつりながらその秘書をチラッと見ると、ニコリと微笑まれた。

俺、どう対処してたっけ…。

こういうあからさまな誘いは久しぶりすぎて、どうすればいいか分からなくなっている。

とりあえずぎこちない笑みを返したら、そいつは満足そうに去って行った。

もうやだこういう大人の世界…。平和なあの学校に早く戻りたい。


あれだけ教師を嫌がってたのに、いつの間にかすっかり学校生活に染まっている自分がいた。


< 269 / 479 >

この作品をシェア

pagetop