ダイスキ熱愛先生!~溺愛教師の不純!?な個人授業~
親父が言いたいことは分かる。

三神グループは現在ヨーロッパ諸国を中心に展開し、その勢力を拡大している。

アジア圏に強い藤堂商事との結びつきが強くなれば、新たな勢力が誕生することになりますます強大になるだろう。


「藤堂商事との提携が実現すればどれだけの利益寄与が見込めるか、お前なら分かるだろ?」

「だったら金一でもいいじゃねえか!!つーか普通は長男からだろ!!」

「おいおい…俺を巻き込むんじゃないよ」

横からすかさず金一のツッコミが入る。


「黙れ!もう銀次に決めた!!」

「何でだよ!!どう考えても俺と結衣を別れさせるためじゃねえか!!」

俺の放った言葉に親父がピクリと片眉を上げた。

「……ゆい?ほお…ゆい、と言うのかその女は」


……しまった!!つい名前を出してしまった!!


「てめっ…!!結衣に何かしたらタダじゃおかねえからな!!」


今日一の怒声で親父に吠えるが、親父は平静を取り戻したかのように近くにいたお手伝いさんを呼び止めた。


「樋口を呼んでくれ。ワシの書斎に来るように」

「待てよ!!親父!!」


俺の声を完全に無視し、親父はスタスタと去っている。

あーあ、と横で金一郎が呟く声が聞こえた。


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