嘘。『彼』
愛内 沙良
「沙良さぁぁん!五番テーブルご指名です。お願いします!ぉっ、沙良さんきょうも綺麗だね〜」


「はぁ〜ぃ。店長も髪型決まってるっ♪」



笑顔で私は席を立った。




「きやぁぁ!さぇぴょんっご無沙汰じゃなぃ〜沙良寂しかったょ〜」



「沙良会いたかったぁ〜仕事が忙しくってさぁ〜やっと会えたぁぁ」



…いい歳して私に手を絡めて甘えてくる。



「やっぱ社長さんは忙しいもんねっ!沙良我慢するっ」



…社長といっても潰れかけだけどね。


家計は、妻に握られて自分のお金はあまりないのだろう。


忙しい=お金無い。



「よぉしよぉしっ、さえぴょん今日は飲もうねっ!」


いい歳した中年の男の頭を撫でながら、私は手慣れた調子でお酒を作る。



胡散臭い言葉が投げ交される毎日。


それが私の毎日。





「沙良さんお願いします。」



「えぇ沙良たんもぅ行っちゃうのぉ〜」


顔を真っ赤にした脂ぎってる顔で、上目使いされる。

「まだ居たぁい…けどっお仕事の時間になっちゃったぁ。またすぐ戻ってくるからねっ。浮気しちゃ嫌ょっ」
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