指折り★Holiday
秘密のベンチ




何度、時計を確認しただろうか。




何度見ても、
時計の時刻は進まない。



大きな溜息をひとつ漏らし、
なにげなく窓の外を見る。




最近、日が落ちるのが早くなった。



夏だったら、
まだこの時間では明るかったのに。



もう空は藍色に染まってきている。







帰りたくないなー・・・・・


でもずっとここにいるのもなー・・・・






ぼんやりと頬ずえをついていると、





見覚えのある人が、窓の外を横切った。





見覚えのある制服。


見覚えのある黒い髪。


黒縁メガネがのっかった、
見覚えのある横顔。








譲輝くんだ・・・・・・・


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