My Sweet Sweet home
「そっか。」



拓兄はそう言ったきり黙り込んでしまった。



あたしは拓兄の罪の意識をどうにか取り払いたいのだけど、上手く言葉が見つからない。



頭の中はもんもんとしていても、結果あたしも黙り込んでしまった。



気づくとあたしたちが兄弟3人でよく来るビビンバハウスという小さなお店についていた。



車降り際、拓兄はあたしの方を見た。



「まあ、傷あとでも残ったら俺が責任とってやるから安心しろよ。」



すっかりいつものように戻った拓兄は、いつものようにあたしの頭をポンとした。



そうしてスタスタと店に向かっていってしまった。



あたしはすぐその後を追いかけて



「やっぱりダメ。すごく痛んできた。ズキズキする。きっとこれ一生消えない傷になるかも。」



と、猫なで声で言った。


「ハイハイ。そうなったら嫁に貰ってやるよ。」


拓兄はどこまでも冗談めかしたけど、あたしはどこまでも本気だった。



「いらっしゃい。ゆかちゃん、拓海。今日は修平いないの?」



いつものオーナーの声が聞こえた。



仕方なしにあたしも、未来の旦那様とデートだからと、冗談めかして言った。
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