独り言2<その後のある日>
お見合い

マナーの意味‥

本を読みながら、ふと目を上げた真奈美は
驚いた。

目の前の座席に座っている真奈美と同じくらいの
年齢の女性が、大きな荷物を自分の隣に置き、
しかも斜めに座っているのだ。

そのために3人は充分に座れるスペースを占拠している。

車内は、通勤電車のような混雑ではないが
空いている座席はなく、立っている人もかなりいた。

『あら、いやだ。どうして一人で三人分も場所を
占領して、平気な顔していられるのかしら?』

思わずまじまじと眺めている真奈美に気付いたのか
その女は、真奈美を睨みつけるとおもむろにバックから
化粧ポーチを取り出すと、鏡を見ながら丁寧にマスカラを
つけはじめた。

『まぁ‥今度はお化粧するの?信じられないわねぇ。』

精一杯、端っこに寄ってキチンと座っている自分と
あまりに対照的な女に真奈美はただただ呆れるしかなかった。

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