独り言2<その後のある日>
そんなに思い切り踏んだ覚えは
ないのに‥と思いながら顔を見た
真奈美はゾッとした。

金髪のくるくる巻き髪に目の周りが
狸のように真っ黒と真っ白で
表情のない、人形の化け物のような
小娘が立っていたのである。

ブランドバックを抱え、ブランド靴を
履いてはいるが、その態度はお世辞にも
上品といえるものではなかった。

彼氏の方は、女よりかなり年上のようだ。
やはり上品なタイプではない。

『めんどくさいのにひっかかっちゃったなぁ‥。』

そう思いながら、どうしたものか‥と
思っていたとき‥ドン!と目の前に大きな背中。

今度は真奈美が誰かに思い切り
足を踏まれた。

『いったぁ‥。』

声は出さなかったものの、かなり痛かった。

「あ、ごめんなさい。」

声の主は大柄な男性だった。

「あ、い、いえ‥。」

「痛かったでしょ?もろに踏んじゃいましたよねぇ。」

「は、い、いえ‥。」

痛いけど、なんと答えるべきか‥言葉にならない。


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