嘘つき②【-臆病-】
「受け止めなければ伝わりません」
愁哉さんは少しだけ悲しそうに瞳を陰らす。
それなのに、熱い指先が、あたしに触れた。躊躇する様に、まるで触れる事が禁忌な事のように。
「愁…哉さん?」
あたしの声に八ッとすると
「そう呼んで頂いた方がやはり落ち着きますね」
クッと笑って、その指を退けた。
「…過去に捕らわれているのはあなたですよ」
その澄んだ瞳が狂おしい程切なくて、あたしの体に、掴まれた様な心臓の痛みが走った。