天使のいいなり~僕と天使と聖なる夜
永瀬の存在を知ったのは、大学に入ってしばらくたった後だった。



毎日雨が続き、本格的に梅雨の季節に入った頃。


いつものように、学食で昼飯を食べていたときのこと。

俺が座ってた隣のテーブルから偶然聞こえてきた会話。



「あれ、桜宮高の永瀬?」

「なに、お前知り合い?」

「知り合いじゃねーけど…。高校でバレーやってるヤツだったら、知らないヤツなんかいないんだぜ。」

「あぁ、お前バレーやってたって言ってたもんな。そんな有名人?」

「去年の全国大会でベスト4。そんときのNo.1アタッカーって騒がれたんだよ。実業団か体育大に行ってるとばっかり…。」




聞く気なんて、全くなかった。

だけど、『バレー』という言葉が、嫌でも俺の耳に入ってきてしまう。


早くこの会話終わればいいのに。
そう心の中で思い続けた。

どいつが永瀬なのかも確かめずに…。





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