灰色リリィ
灰色リリィ

少女



何が善で

何が悪か。


何が間違いで

何が正しいのか。


この、当たり前のように与えられた正答が世界のすべてなら、私たち家族は間違いなくその枠からはずれてる。


それを実感するたびに苦しくて、感じたくない白と黒ばかりが心の中で渦巻いて。


私はいつだって、逃げたくてもがいてた。



両親の怒声ばかりが飛び交う家の中、部屋の隅で蹲って迎える朝は、いつも刺すように冷たくて。


ガラス片が散る畳を歩く足は、いつも傷だらけで。



もう、限界だったんだ。


もう、駄目だったんだ。



私は私を、一瞬だけでいいから、解放したかったんだ。







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