騎士戦争


「それが俺たち王に仕える家臣の勤めだ。行きたくないなど今更遅い。だだをこねる前に、残り少ない時間で家族に別れを告げたらどうだ?」


あんな感じにと、近場で妻と子に別れを告げる甲冑の姿を例にした


戦争に行く前の今は、言わば『最後のゆとり』だ


これから死ぬかもしれないのだから、各々に好きにやるのが基本


妻に別れを告げようが、片思いを実らせようと告白しようが、樽酒を飲もうが構いはしなく


「――って、お前!戦争行く前に樽酒を飲むなっ」


せめてジョッキ一杯にしとけとクロスは一喝した


城壁前のここは祭りをやっているように騒々しい――のに、それ以上に大きい怒声に周りの視線はクロスに向けられた


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