姫のさがしもの。


私は和泉さんの目を

しっかり見た。



「私のせいで

仕事を辞めてしまった彼に、


こんな風に

不甲斐ないとか

かっこわるいとか
思うのは


やっぱり

ワガママだと
思いますか?」



和泉さんは、

少し考える素振りを見せた。




「北川さんは、


ご自分がバリバリと

仕事をなさっていて


仕事の楽しさも

やりがいも知ってしまって
いるから、


彼がそういうやりがいを
知らない生活に

満足してしまっているのが


少し物足りないんでしょうね。」



和泉さんの言葉は

優しくて鋭い。




私は、

その通りだと思った。
< 226 / 544 >

この作品をシェア

pagetop