Self-indulgent.go.go!


「志伸はあたしの旦那だよ。」


事も無げに、寧ろ、さして興味もなさげに、梓さんはさらっとそう言った。

旦那。
梓さんの旦那さん。

視線を移せば、あたしの隣でどこか照れた様子の志伸さんが目に映った。


「…旦那さん!?」


BGMはベートーベンに違いない。
二人を見比べて、余りの驚きにそれ以降声が出なかった。

梓さんは既婚者だったのか。

何も知らないどころか、一つとして梓さんのことを知らない自分に気がついた。
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