B L A S T
「急にでけえ声出すな、女!鼓膜が破れるだろうが!」
「だって総長って」
「あ?総長がどうかしたかよ」
「…それは朝早くに会うとかそういうことじゃなく?」
間が空いた。
きょとんとしていたカズがみるみるうちに眉を寄せあげて、呆れ顔になった。
総長イコール早朝。
やっとこの公式に気付いたらしい。
「んなわけねえだろうが!総長はオレらのリーダーのことだ!バカかお前は」
運転席でタクマが肩を揺らして笑いをこらえていた。
あの公式が相当なツボだったらしく、しばらく肩の揺れはおさまらなかった。
「さっすが落ち着いてるな。普通だったらこんな状況でそんなジョーク言えないもんだよ、嬢ちゃん」
落ち着いているつもりはなかった。
連れ去られたショックで、未だに鼓動は高鳴ったままだ。
ただ同じ匂いを感じたのだ。
なんとなく予感はしていた。
この車と男二人の雰囲気からしてなんとなくそうなんじゃないかと思ってた。
楓は隣にある黒いクッションの下に目をやった。
燃えるような真っ赤な色をした服が無造作に置かれている。
それは確かに見覚えのあるもので、色は違うけれどガヤの持っている特効服とよく似ていた。
同じ匂い。
そう、ガヤと同じ匂い。
彼らは、暴走族だ。