B L A S T
Act.23

革張りの真っ赤なソファーは触ると冷たく感じた。

部屋の中は静かで、チクタクと時計の針が進む音だけが聞こえる。


――今すぐイツキの前から消えて!!


あれから何時間が立ったのだろう。

由希が部屋を出て行く時、彼女の目は潤んでいた。

あの涙は一体、何を意味していたんだろうか。


「思いっきり叩いちゃったからな…」


セイジの時と同様、またしても手を出してしまった自分に反省するが、楓はBLASTを"ゴミ"と罵った彼女がどうしても許せなかった。

どうやら、彼女はBLASTに対して嫌悪感を抱いているようだ。

イツキと揉めていたこともそのことと何か関係があるのだろうか。

ふう、と楓は吐息をついた。

窓から見える空は白みがかかっている。

昨晩ガヤがイツキを追いかけてから、彼らが戻ってくる気配はない。

先ほどガヤにメールを送ってみたけれど、返ってきたのは≪先に帰れ≫の一言だけだ。

今日は学校だからガヤの言うとおり早く帰らなきゃいけないと分かっていても、やっぱりイツキのことが心配で、なかなかプレハブを出ることができずにいた。


――イツキさん大丈夫かな…。


やがて時計の針が一周を回った時だ。

階段を駆け上る足音が聞こえ、楓はうとうとしかけた目を開ける。

イツキさんかもしれない。

すぐさまドアの方に駆け寄るが部屋に入ってきたのは予想していた人物とは違っていた。
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