蒼翼記
そのまま僕は大窓の桟を軽く蹴って宙を舞う。

おもちゃのように並ぶ城の建物を遥か眼下に翼に力をいれ猛スピードで演習場に向かう。












その下級兵は、『凶暴で凶悪な狂戦士』と噂される一人の『羽付き』が飛び去るのを呆然と見送っていた。
彼の伝令役にされてから数カ月。

周りの話と自分の見た事が一致していない気がする。





『忌まわしき狂戦士』と同僚達に囁かれる今飛び去ったその男は、

凛として、




自然体で、










何処か透明だった。


彼の、一体何がそんなに忌まわしいのだろう?






素直に、そう考えてしまう程。
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