粉雪2-sleeping beauty-
『…てゆーかこれじゃ、お店出来ないじゃん!
あのキモいストーカーの所為だよ、まったく!!』


千里は思い出したように口を尖らせた。



「…じゃあ、民事訴訟でも起こすか?
かーなーりダルいぞ?(笑)」


『…ありえない…。』


「じゃあ、我慢しろ。」


俺の言葉に、千里は大きなため息をついた。



『…そろそろよろしいですか?』


一部始終を見ていた私服の刑事らしき男が、後ろから声を掛けて来た。


一瞬眉をしかめた千里は、あからさまに笑顔を作って向けた。



『…相当嫌いなんだね、警察ってやつが。』


その顔を見ていたのであろうルミが、困ったよう俺に笑い掛けた。



「…ある意味因縁だよ、因縁。」


煙草を咥え、ルミに渋い顔を向けてため息をついた。



『…まぁルミも、小学校の頃に万引きで掴まって以来の因縁があるけどね(笑)』


千里の背中を二人で見つめながら、少しだけ笑った。



千里の話が終わり、今度は俺に質問が及ぶ。


こんなに警察の人間に話をしたのは、多分初めてだろう。


とりあえず、あることないこと大袈裟に話して聞かせた。


意見が食い違えば、それだけ拘留が長引く。


“錯乱してました”って言っといたから多分、

俺の方が信憑性のある話に聞こえただろう。



まだ少しだけ、谷口を殴った拳が痛かった。


だけどまだ、背中に千里の感覚が残っていた。



貧乳かと思ってたけど、あれはあるな。


そんなことを考えながら、少しだけ笑った。


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