粉雪2-sleeping beauty-
―――出会いなんてのは、本当に些細な偶然が重なるもんだ。


それがただのすれ違った人になるか、

将来の伴侶とかになっちゃうかは、自分次第なんだと思う。


隼人さんの女だった千里が今、

俺の家に来て当たり前のように振舞っていることだってそうだ。


突き放してれば終わってたし、一緒にこの街に来なければ、

こんな生活だってありえなかった。


ただその出会いは、どっちに転ぶかで、その後は大きく変わるんだ。


人生に大きく関わるような重要な出会いなのか、

はたまた忘れちゃうほどどーでも良い出会いなのかがわかるのは、

いつも時間が経ってからなんだ。






「―――じゃあまぁ、お疲れさん!」


俺の言葉を合図に、一斉に持ち上げられていたグラスのぶつかる音が響く。



『乾杯!』


『お疲れっす!』


言いながら、既に熱気に包まれた居酒屋。


男達の野太い笑い声が響く。



今日は、うちの会社の飲み会。


暑い中頑張ってるやつらのための、俺からのちょっとしたプレゼントだ。



「しっかり飲めよ!
給料引きにしといてやるから!(笑)」


『そりゃーないっすよ!!』



相変わらず、うちの会社は馬鹿ばっか。


だけど、たまに問題起こすことを除いては、良いやつらに恵まれてると思う。


こんな風に馬鹿騒ぎが出来るのも、本当に何年振りだろう。


族やってた頃は、それなりに楽しかった。


だけどそれからは、ずっと張り詰めた中で生きてきた。


本当に今の俺は、守りたいものが増えたと自分でも思う。


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