粉雪2-sleeping beauty-
「…俺、頑張るわ。」


少しだけ笑い、言葉を続けた。


「俺の夢は、“万札の風呂に浸かること”って言ったろ?
お前も一緒に、浸からせてやるよ!」


『―――ッ!』


「…だから、ずっと見てろよ、俺のこと。」


俺の言葉に、千里は目を見開いていた。


その顔は酷く滑稽で、笑ってしまいそうになる。



『…楽しそうだね。』


クスッと笑った千里の顔は、安心しているようにも見えた。



結局、この約束は守られることがなかったよな…。


俺がちゃんと言えば、結果は変わってたかな?



もっと早く…


もっとちゃんと…


言ってれば良かったんだ…。




『…もぉ、“戻りたい”なんて、言わないでね…?』


「言うかよ、バーカ!
気の迷いだよ。」


そして、顔を見合わせて笑った。



『…なら良いよ。飲もう?』


そう言って立ち上がった千里は、少し高い酒のボトルを持ち上げた。


“特別だよ♪”なんて言いながら、優しく笑ってくれた。



同じぬるま湯なのに、どうしてこうも違うんだろう…。


お前は間違いなく、俺の中で“特別”だった。


それは、今も変わらないからな―――…


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