粉雪2-sleeping beauty-
その時、初めて気付いたんだ…。


お前がどれほど、俺に助けを求めていたのかを…。


俺が、お前の手を離してしまったことを…。



“今ね、海に来てるの”


アイツは、一人で抱えていたんだ。


俺がアイツに、一人で抱えさせたんだ…。




『―――ルミちゃん!』


その声に、ゆっくりと顔を上げた。



『嵐さん?!』


「―――ッ!」



あぁ、男が来たのか…。


じゃあ俺、帰らなきゃ…。


そう思った瞬間だった。



―ボコン!

「―――ッ!」


気付いたら、体が吹っ飛んでいた。


頬と背中に、鈍い痛みが走る。



…殴られた…?


そう認識するまでに、時間は掛からなかった。



「…てめぇ…!」


起き上がった瞬間、純白のスーツの胸ぐらを掴んだ。


シワの一つもないない服が、グシャッと歪む。



『…んだ、コラァ!』


男も俺の胸ぐらを掴み、負けじと睨みを利かせてきた。



< 195 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop