粉雪2-sleeping beauty-
the table
―――翌日、二日酔いやら後悔やら罪悪感やらで、

とにかく朝からテンションが低かった。


事務所のデスクには、結構色んな薬が入っている。



『…お疲れな顔してますね。』


ミネラルウォーターと一緒に薬を流し込む俺に、真鍋が困ったように笑い掛けた。



「…なぁ、ドラエもん作ってる人、どっかに居ねぇかなぁ?」


『ハァ?!何言ってんすか?!』



いや、結構マジだ。


俺的には、昨日の出来事を消し去ってしまいたい。


てゆーかまず、俺が先に千里と出会いたかったとさえ思ってる。



『…酒、抜けてないんすか?』


「…そー見えるか?」



どうやら俺は、結構重症らしい。



昨日はあれから、千里を送って帰ってやったトコまでは覚えてる。


それから家でまた浴びるように飲んで、気付いたら朝だった。



「…つーかお前、早く仕事行けよ。
俺、眠いんだけど…。」


『わかってますって!』


顔を覗きんで来た真鍋は、“でも社長!”と言いながら、言葉を続ける。


『…いい加減、体のことも考えてくださいよ!』


「…ハイ。」



俺に敬語なんて使ってるけど、実際は真鍋は俺より年上だ。


この街に来て、人に心配なんてされるようになっちまった。


悪くないんだけど、やっぱりどうも、居心地が悪く感じてしまう。



人に使われてる方が、何も考えなくて良かった分、楽だったのかもしれねぇな。


真鍋なんて、すっかり世話焼き女房気取りだし。


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