粉雪2-sleeping beauty-
『…これから、あたし居なくなって寂しくない…?』


「―――ッ!」



どうして、わかってることを聞くんだろう…。



「…寂しいに決まってんじゃん…。
お前の居ない生活を考えると、ホントはすっげぇ怖いんだよ…。」


『じゃあ、クイズ出してあげるよ!』


「ハァ?」



…またコイツは…。


いつもいつも、突拍子もないことを言い出すんだ。



『じゃあ、問題ね。
あたしは、ガチャピンとムック、どっちが好きでしょう。』


「…知るかよ。」


呆れ半分で、こめかみを押えた。


捨てては咥える煙草は、一体何本目だろう。



『真面目に考えてよ!
わかったら、次に会うときに教えてね!』


「―――ッ!」


その言葉に、目を見開いた。


それは、“絶対にいつか会える”って言ってるみたいで。


“絶対にあの約束は守られるんだ”って、保障されてるみたいだった。



「…しょうがねぇなぁ…。
ヒントは?ねぇの?」


『じゃあ、特別にヒント出してあげるよ。
あたしは赤色が好きなの。
けど、スポーツ万能な人も好きなの。』


「…それ、全然ヒントになってねぇじゃん。」


『ダメ、これ以上はヒント出せない。
これからの長い人生の間、この答えを考えてれば暇じゃないでしょ?』


「―――ッ!」



なぁ、千里…


俺は今でも、あの問題の答えを考えてるんだ。


やっぱりいつまで経っても答えなんて見つからなくて…。


だから俺、全然暇じゃねぇから。


それに、お前との約束もあるし、寂しくなんてねぇから。


お前が残してくれたものは、たくさんありすぎるよ。


ありがとな、千里…。


俺の為に、ありがとう。


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