粉雪2-sleeping beauty-
gloomy room
『―――何だ、片付いてんじゃん!』


俺の部屋を見た千里は、目を丸くしていた。



一旦千里の家に荷物を取りに行き、二人で俺の部屋に来た。


気が重い俺なんかとは対照的に、千里はまるで遠足気分のようだ。




「…当たり前だろ。」


眉をしかめ、住み慣れた家の奥に足を進めた。



てゆーか俺、我慢出来るのかよ。


それより千里も、少しは警戒くらいしろよ。




「…つーか俺、風呂入るし。」


“勝手にくつろいでろよ”なんて言う前に、

千里は自分の部屋の様に鼻歌交じりにキッチンに向かっていた。


返事も聞こえず、ため息をついて逃げるようにお風呂場に向かった。



脱衣所のドアを閉めると、足元から崩れ落ちた。


自分で言った筈なのに、今更緊張してしまう。


てゆーか、俺ばっか意識して、何か馬鹿みたいだし。


鏡で自分の顔を見ると、情けなさにまたため息をついた。




頭からシャワーの熱いお湯を流した。


まだ肌寒い風を浴びた冷えた体が火照るのを感じる。



脈を打つように、心臓が音を立てる。


その音を掻き消すように、再び頭からシャワーを流した。



つーかこれって、俺がソファーに寝るんだよなぁ?


…マジで勘弁してくれよ…。


考えれば考えるほど、ため息ばかりが増える。


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