粉雪2-sleeping beauty-
30分後に現れた真鍋の姿に、目を疑った。


そこには、一緒にルミも居たからだ。



「…お前ら、そーゆー関係だったのかよ…。
浮気なら、バレねぇようにやれよ?」


投げ出していた足を戻し、ソファーに座り直した。



『…違います…。
さっき、俺が呼んだんです…。』


俺の目も見ずに言う真鍋は、向かいのソファーに腰を降ろした。


戸惑いながら、ルミもその横に腰を下ろす。



『…ママは…?』


不安そうに、ルミは辺りを見回した。



「…寝てるよ。
まぁ、アイツは来ねぇ方が良いだろう…。」


吐き出す煙に少しだけ目を細め、何本目かの煙草を灰皿に押し当てた。



『…あの男、“組長”とかって言ってましたけど…。』


ゆっくりと、真鍋は本題に入った。


建設業なんてのは仕事柄、ヤクザとも接点がある。


ルミだって飲み屋の仕事柄、同じようなものだ。


だけど真鍋も、組長なんてものを見たのは、初めてだったのだろう。



「…“獅龍会”って名前、去年ニュースで騒がれてたろ?
河本は今、殺された香西組長に代わって、4代目張ってるんだよ。」


『―――ッ!』


瞬間、二人の顔色が変わった。


去年散々ニュース騒がれた内部分裂は、獅龍会の名前を一躍全国に広めた。


関係のない人間には全くわからないだろう話だけど、

ルミなんかは、そうではないらしい。



『…何でそんな人が…ママやマツさんと関係があるの…?』


声を震わせながら、ルミは聞いてきた。



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