乱樹(らんじゅ)の香り

芽ぶき

「あいつ、帰ったよ。

急な発熱、だそうだ。

麗に好かれてるのが本当だって分かって、熱出したらしいよ」

瞬が言った。

「まさかそんなことはないでしょうけど、熱出して帰っちゃったって言うのは本当」

慧が言った。

「仕方ないね」
「チャンスだね」

二人は同時に言った。

「チャンス?」

麗は訊き返した。
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