大陸の冒険 アダナレロと天空の島
だって今にも転覆しそうな船で旅に出るんだから
「嫌ならいいんじゃ。お前たちを置いて行くからな。」
あの優しそうな村長が急に態度が変わった。なんか強そうな村長にまるで生まれ変わったみたいに…。
「でもここまで来たからには戻れない。」
「そうね。」
「それじゃあみんな乗り込もう。」
僕たちは船に乗り込む。やっぱり転覆しそうな感じ。でもなぜか四人乗ると安定した。不思議に思った。
「安定した。」
「この船は四人乗ると安定するんじゃ。」
「それを早く言ってほしかったよ。」
リームさんが悔しそうに言い出した。
「ところで村長。ふとおもったんだけど。」
「なんじゃ?」
「帆(ほ)は?」
シーンとした空気に再びなった。
「なんか嫌な予感。」
「そうじゃ。漕いで行くんじゃ。」
「やっぱり…。」
一人ずつオールを持ち、掛け声と共にこぎ始める。
漕ぎながら周りの世界が向こうへと流れていく。そよ風が気持ちい。
「このまま真っ直ぐ行けばいいの?」
僕が聞く。
「そうみたいね。」
リームさんが答える。
「あれじゃ。」
村長が指差した場所には、島が見えてきた。
「あれが火の島?」
「そうだよ。あそこには火の島にしかない大きな山があるんだ。」
僕のお父さんが言った。
< 59 / 258 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop