運命

最後のプレゼント

『こ、ここは‥?』


『目を覚ましたのね?今、看護師さん呼んで来るからちょっと待ってて。』

『おばさん、私呼んできます』

桃‥花?

『ごめんなさいね』

桃花はお母さんに頭を下げてから病室を後にした。


『お母さん‥ここは?』


『病院よ。あなた倒れて、聡くんのお母さんが救急車呼んでくれたのよ。』

あ~あの時‥


『聡は!?聡は何処にいるの?』

私は興奮して体を起した。お母さんは「話を聞いて」と言いながら、私をもう一度ベッドに寝かした。


『聡くんのお母さんからの伝言よ。ごめんなさいって。聡と愛ちゃんは離れられないのに‥愛ちゃんが倒れたのは私のせいねって。』


『そんな‥私がいけないのに‥』


『大丈夫よ。お母さんがちゃんと言っときましたから。聡くんは、あなた達の家に先に帰ってるわよ』


『そっか。心配かけてごめんね‥お母さん。』

その時、看護師さんが桃花と一緒に私の前に表れた。


『体調はいかがですか?』


『もう大丈夫です。』


『そうですか。高橋さん、3日も眠ってたんですよ。』


『えっ!?私、3日も?』


『そうです。倒れた原因は、睡眠不足と精神的ストレスと栄養失調ですね。睡眠は十分にとったので、これからは食事をしっかり取ってください。いいですね?』


『‥はい。すみませんでした。』


『それから‥ここからの話は高橋さんだけに、先にお話しときましょうかね。すみませんが席を外していただいても宜しいですか?』

お母さんと桃花は病室から出て行った。


『気持ちも落ち着いてきたと思いますので、話しますけど‥驚かないで下さいね。』

私は看護師さんから目を逸らさなかった。

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