妖魔03(R)〜星霜〜
日本

手紙

私は殺人鬼なんです。

死地に向かう際、相手にも死地を見せなければならない自分なりの規則があるんですよ。

前回、殺し屋と紹介したので、今回は別の紹介を取らせて頂きました。

最近は平穏な日常が続いてますね。

平穏という二文字はとても素晴らしいと思います。

ですから、学園の屋上で安穏とした気分に浸ってしまうというものです。

そういえば、一ヶ月の間、葉桜君の姿を見かけなくなりましたね。

ハワイにでも移住したのでしょうか。

彼は熱い男性ですから、熱帯地方が好きなのかもしれません。

日本の季節は秋になってしまいましたからね。

これからコタツに頼る季節になってしまいますから、前もって暖かい場所に移住したくなるのも解ります。

私としては、人の心を満たす秋風を是非ともオススメしたいんですがね。

残念ですが、彼がいなければお伝えすることも出来ませんよ。

しかし、平穏になったのは彼がいなくなってからでしょうかね。

彼には不思議な体験をさせてくれる体質があるのでしょう。

私も休暇を取って、彼が在住しているもしれないハワイにでも行ってみるのもいいかもしれませんね。

「おや」

秋風が眼鏡を揺らして、地面に落ちてしまいましたね。

眼鏡がないと視界がボヤけて、不利的状況を生み出してしまいますね。

これは集中力アップ使えるのではないでしょうか?

ですが、今は死地への旅行が起こる気配がありませんね。

眼鏡を拾い上げようとしたところで、先に拾われてしまいましたよ。

「おや、すいませんねえ。あなたの垢を眼鏡につけてくれるのは至福としか言いようがありませんよ」

「赤城先生、また訳のわからない事、言ってるんだ」

ボヤける視界でも、小鳥を呼び寄せそうな可愛い声でわかってしまいましたよ。

「江口さんですか」

眼鏡を受け取ってかけてみると、苦楽を共にした江口さんの姿が目の前にあります。

「私の元を訪れるとは思いもしませんでしたね。あなたに拾われた眼鏡をプレゼントしたくなりますよ」
< 10 / 355 >

この作品をシェア

pagetop