キラキラ
一億の星の中でも

ぼやけた視界に映ったのは、見慣れない天井だった。


「…雪音?」



声のする方に視線を向けると、疲れたような顔をした武弘が、私を覗き込む。



「武弘…」



掠れた声しか出ない。




「よかった…。意識が戻れば、医者も大丈夫だって。俺のせいで…本当にごめんな。」



武弘が、苦しそうな顔でそう私に告げた。

そこでやっと思い出した。



「…祐夏は?」



祐夏が心配だった。
彼女が負った傷に比べれば、私の傷など自業自得にすぎない。



「祐夏は…」


意を決したような表情で、武弘が口を開く。



「祐夏は、あの後すぐに外に飛び出して、敬太がそれを追った。説得しようとした敬太を振り切った祐夏は、トラックに跳ねられた。」



思わず身を起こしかけた私を片手で制して、武弘が続ける。



「怪我は大丈夫だ。足を打撲したのと、あとはかすり傷程度だった。ただ…」



武弘が、目をそらせながら言った。



「記憶を、無くしたみたいなんだ。」



頭が真っ白になった。



「事故のショックなのか、精神的なものなのか、医者も判断できないそうだ。でも、俺はあいつの記憶が戻るまで…その先もずっと、あいつの傍にいようと思う。」


真っ直ぐな視線を私に向け、そう言った。



< 42 / 45 >

この作品をシェア

pagetop