ゴーストな彼
「お母さんに何か
 言いたいことある?
 あたし伝えて
 あげようか?」

「別になんもないよ・・・」

そう言い悠は
悲しそうな目をして
姿を消した

あたしは悠のお母さんに
丁寧にお礼を言い
玄関を出ようとした時
悠のお母さんが呼び止めた

「ごめんなさいね・・・
 変な事言うけど
 気を悪くしないで・・・
 あなた・・・
 悠が見えてるの?」

あたしは驚いた・・・

「どうしてですか・・・?」

「あなたから悠の気配を
 感じるの・・・」

母親の情は
すごいと思った

「見えるといいんですけど・・・
 あたしには・・・」

「そうよね・・・
 ごめんなさい・・・
 変な事言って・・・
 また遊びにいらしてね・・・」

「はい・・・
 失礼します・・・」

悠の家を後にしたあたしは
なぜか涙が止らなかった・・・

消えてしまった悠は
きっと今頃あたしの家で
ノイズの走った
TVを見ている・・・

そしてきっと
帰ったら・・・
< 110 / 124 >

この作品をシェア

pagetop