ゴーストな彼
そして参列者の中の
一人を指差している

その指先をたどると
一人の男が
ハンカチで目頭を
押さえている

時々 泣いてる母親の肩を
励ますように
やさしくたたく・・・

身内らしきその男に
彼女の指先は
向けられていた

彼女の形相は
まさしく怒りに
満ちていた・・・

「あの人が犯人・・・?」

あたしはその男の元へ
近づいてみた

男は亡くなった彼女の
婚約者らしく
近々結婚する予定
だったらしい・・・
母親の後ろにいた
彼女の姿は
いつのまにか消えていた

あたしは結局
葬儀が終わっても
帰る事ができず
その場にいた

彼女の無念さが
伝わってきて
どうしても押さえる事が
できない・・・

もはやこの時あたしは
とり憑かれていたのかも
しれない・・・
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