オンナの園
『ちょっと、桜木さん、ここ汚いから、さっさと掃除してちょうだい。』


『はい。』


『また、里田さんのいつもの、新人いびりがはじまった。わからないことばっかりだから、聞いてちょうだいね』


蜜先輩がやさしく微笑んだ。笑顔も素敵。


『ねぇ、桜木さんって、ムーンさん?寮で有名よね。』


『えっ?そうなんですか?』


まみ先輩は優しく話かけてくれた。


『じゃあ、里田さんが居ないときはムーンってよんじゃう。』


『あ、はい。』


『さっそく、ムーンさん、ちょっと落ち着いたら、お酒行こうよ。』


お酒…?


『私、あまり飲めないんです。』


『いいから、いいから。そんな硬くならなくて、いいから。ばぁ〜とね。』


るい先輩はお酒好きみたい。
誘ってくれたぁ。


『もう、新人のくせに、何、しゃべってんの?早く、掃除、掃除。』


どうも、このおばちゃんが曲者とみた。


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