こっちむいて伏見!


彼が何かを。

っていうか。

それ、

アタシが作ったクッキーに見えたんだけどっ!!



アタシは慌ててカバンからメガネを取り出して、

彼が何をしているのかはっきり確かめようとした。


「……」


間違いない。

彼はアタシの作ったクッキーをつまみながら作業をしていたのだ。


「ウソ…、マジで…?」



アタシはさっきまでのそっと入ってわからないように帰るなんて考えが吹っ飛んでしまった。


そしてメガネを片づけ、
思い切りドアを開ける。



「わっ!!」


突然、
アタシが来たものだから大声を出して伏見が驚く。


何も言わずアタシは彼に近付く。
手元を確認しながら。

だんだんとはっきりとしてくる。

間違いなく彼のその手にはアタシの作ったクッキー。



アタシの彼の手元を見ている視線に気づいた彼は動揺をする。


「こっ…これは…違うからな…!
ホラ、先輩も食えって言ったから…」



それでもアタシは嬉しくて彼に顔を近づけながら満面の笑みで聞いた。


「ありがとう!美味しい?」


「ち…近づくなーっ!!」










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