タナトスの光
「痛ってぇ!」
悲鳴にも近い、彼の声が聞こえてくる。
どうやら、かなりの打撃を与えたらしい。
両手で顔を押さえている彼の隙をついて、あたしは助手席からドアを開くと無我夢中で、外へと転がり出た。
暗闇の中、どこをどう走ったのか。
気がつけば、大通り沿いに出ていた。
近くにあるコンビニの灯りが、まるでオアシスのように、輝いて見える。
あそこのコンビニから。
お店の人に頼んで、タクシーを呼んでもらえばいい。
一刻も早く、家に帰りたかった。
大通りを渡ろうとしたそのとき、車のライトが近づいて来る。
まさか、さっきの彼が追って来た?
あたしは身構えて、その車を凝視した。
でもその車は、あたしの前をそのまま素通りして行ってしまった。
勘違いだったことにホッとして、コンビニに向かおうと思った瞬間、自分のあられもない姿に気がついた。
あちこち破れて、見るも無残な白いワンピ。
こんな姿で、コンビニに入ったら、どんな風に思われるだろう。
でも、そんなこと、気にしてなんかいられない。
未遂だっただけ、まだましだ。
あたしは覚悟を決めると、出来るだけワンピを整えてから、コンビニに向かって近づいて行った。
悲鳴にも近い、彼の声が聞こえてくる。
どうやら、かなりの打撃を与えたらしい。
両手で顔を押さえている彼の隙をついて、あたしは助手席からドアを開くと無我夢中で、外へと転がり出た。
暗闇の中、どこをどう走ったのか。
気がつけば、大通り沿いに出ていた。
近くにあるコンビニの灯りが、まるでオアシスのように、輝いて見える。
あそこのコンビニから。
お店の人に頼んで、タクシーを呼んでもらえばいい。
一刻も早く、家に帰りたかった。
大通りを渡ろうとしたそのとき、車のライトが近づいて来る。
まさか、さっきの彼が追って来た?
あたしは身構えて、その車を凝視した。
でもその車は、あたしの前をそのまま素通りして行ってしまった。
勘違いだったことにホッとして、コンビニに向かおうと思った瞬間、自分のあられもない姿に気がついた。
あちこち破れて、見るも無残な白いワンピ。
こんな姿で、コンビニに入ったら、どんな風に思われるだろう。
でも、そんなこと、気にしてなんかいられない。
未遂だっただけ、まだましだ。
あたしは覚悟を決めると、出来るだけワンピを整えてから、コンビニに向かって近づいて行った。