THE DEATH
宿から20分程歩いただろうか、粗末な民家の並びに目的の家はあった。


軽くノックをすると、中から返事があった。


『帰れ、…食い物でも持ってんなら別だけどな』


…返事といってもこんなものであったが。


「…携帯食で良ければ手持ちがある」


ボルグが言うと、カチャリと、鍵が外れる音がした。


取っ手を引くとギィッとドアが軋み、薄暗い室内に光が差し込む。


「さっさと閉めろ、今外の空気はあんまり吸いたくないんだ」


ドアをくぐった者から家の主を確認し、しばし戸惑う。


「君が…オニキス?」


「ハッ、…目当ての人物がこんな姿でビックリしたかい?」


ストークの問いかけに、家の主は皮肉げに笑む。


目線が合ったのは、カロンだけだった。


小さい…幼い少年。


歳のころ8、9歳といったところか。

ミアに貰った資料にはオニキスは12歳、兄のジェイドは生きていれば19歳とあった。


「黙りこくるんじゃねぇよ、俺は自分から話す方じゃねぇんだから…」


オニキスは艶のある黒髪をワシワシとかきあげた。


子供特有の柔らかい毛並が滑らかにしなる。


「アンタたちの格好‥‥暑
< 25 / 36 >

この作品をシェア

pagetop