負け組女子高生
それから、マリエが元いた例のギャル達も話し掛けてきた。
昼休み。
昼食のパンをたいらげ私は机につっぷして一眠りしようとした時だった。
「ねーねー、山崎さーん。」
甘ったるい香水の匂いと共に、彼女達が私の席を囲んだ。
リーダー格の佐藤エリは、私が額をつけている机にお尻をのせた。
私は彼女達の声で、体を起こした。
「今日マリエ、おやすみ〜?」
常にエリの後ろを金魚の糞のように着いて歩いているゆきが私に聞いてきた。
エリはニヤニヤ笑っている。
「うん。そうだけど」
私がそう答えるとエリは長い髪をねじりながら言った。
「山崎さんさー、マリエからあたしたちの事何か聞いてる?」
それが聞きたかったのか。
私はすっとぼけた。
「特になんも聞いてないよ?」
私がそう言うと彼女達はぞろぞろと私から離れていった。
「何も言ってないみたいだよー。」
「えー嘘ついてるかもよ?明らかびびってたじゃんあの子。」
「はっうけるー」
彼女達の遠慮のない声がやけに耳に入ってくる。
確かにあの子達にはびびっている。
囲みメイクのせいか彼女達の目力は圧倒的だ。
それにしても、今のはなんだったんだろう。
私はほのかに嫌な予感、というものを感じた。
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