負け組女子高生
冷たい空気が肌を刺激して、少し痛かった。
我が高校の生徒達は重たいブレザーをはおり、いわゆる冬服の装いで登校するようになった。
寒がりの私としては嬉しかった。
「ブレザー、着ないの?」
私はいつまでたってもブラウスのまま過ごす悠紀に問いかけた。
「だっさいじゃない。この学校のブレザー。」
そうかなぁ。いい色じゃん。
そう言おうかと思ったが、彼女なりのこだわりがあるらしく私はあえて突っ込まなかった。
「そっか。」
「あたし暑がりだし」
悠紀はそう言って笑う。
昼休み。
私達は毎度の事、中庭の木の影にいた。
購買でパン、悠紀はおにぎりを買ってその足で中庭にやってきた。
「ふぅ。さむっ」
私は袖を握った。
その隣で悠紀は袖をめくってパタパタと顔を煽いだ。
「悠紀絶対さむいでし…」
そう言いかけた時だった。私は見つけてしまった。
悠紀の手首には幾重にも重なった白い線が浮かんでいた。
それは私にもすぐにリストカットの跡だと気付いた。
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