境界
体験授業は二回だけだ。
二回だけで英会話教室を気に入ってもらわなければならない。
小学四年生となると、子供自身で自分の気持ちを主張できる年頃でもあるため、
親だけが納得しても子供は入学してくれない。
愛香にも気に入ってもらわなければならない。
この時ばかりは、真面目に授業をするだけでなく、
明らかに愛香を意識していた。
「愛香ちゃん、今日の英会話楽しかった?」
「うん、楽しかったよ。史彦先生。」
「じゃあ、また来てくれる?」
「うん」
ホッとしたというのが本音である。
「次も、お姉さんといっしょに来るの?」
英会話には関係ないが、思わず聞いてしまった。
「うん、いっしょに来るよ。」
思わずにんまりしたが、愛香には悟られまいと、
「じゃあ、待ってるね。」
と笑顔で見送った。
その時、幸子も笑顔で挨拶してくれた。
実は、この時僕ははじめて幸子と眼を合わした。
二回だけで英会話教室を気に入ってもらわなければならない。
小学四年生となると、子供自身で自分の気持ちを主張できる年頃でもあるため、
親だけが納得しても子供は入学してくれない。
愛香にも気に入ってもらわなければならない。
この時ばかりは、真面目に授業をするだけでなく、
明らかに愛香を意識していた。
「愛香ちゃん、今日の英会話楽しかった?」
「うん、楽しかったよ。史彦先生。」
「じゃあ、また来てくれる?」
「うん」
ホッとしたというのが本音である。
「次も、お姉さんといっしょに来るの?」
英会話には関係ないが、思わず聞いてしまった。
「うん、いっしょに来るよ。」
思わずにんまりしたが、愛香には悟られまいと、
「じゃあ、待ってるね。」
と笑顔で見送った。
その時、幸子も笑顔で挨拶してくれた。
実は、この時僕ははじめて幸子と眼を合わした。